ストーリー
17歳、切っても切れないタコの島
鈴木大洋(17)は、フグとタコで有名な愛知県の離島・日間賀島に住む高校三年生。
幼少期から「4代目」と呼ばれて育ち、中学生まではそのことに何の疑問も持たなかったが、島外の高校で友人と交わるうち、島独自の文化や風習、「4代目」が決定づけられていることに疑問を抱くようになり、自分の将来はこれでいいのか?という気持ちに駆られる。
かといってこの島が嫌いというわけでもない。
なのに最近、島から抜け出そうとする夢を頻繁に見るようになった。
自分の本当の気持ちがわからず、具体的な目標もなく、悶々とする大洋。
いつものように旅館の手伝いをする大洋は、名古屋から来た女子大生、松田凛空・佐野晴香とともに島を巡る。
自分にとってはありふれた風景にいちいち感動する凛空と晴香。
大洋は都会の雰囲気を纏った二人に自分の知らないキラキラした世界を想像する。
夜の砂浜で一緒に過ごした凛空の話も、広い世界の素晴らしさに満ちていてワクワクした。
二人が旅館を去るとき、凛空は日間賀島郵便局のタコの消印のハガキが欲しいから、と自分の住所を走り書きしていく。
共に過ごした時間に運命的なものを感じていた大洋は、凛空との繋がりが消えなかったことに内心ときめいていた。